コーヒーの抽出方法は、ペーパードリップやサイフォン、フレンチプレスなどがありますが、布フィルターで抽出を行う「ネルドリップ」はご存知でしょうか。
老舗の純喫茶では、ネルドリップで1杯ずつ丁寧に淹れるところも多いです。
コーヒーファンにも根強いネルドリップですが、どのような特徴や味の違いがあるのでしょうか。
そこで今回は、ネルドリップの仕組みや特長、ネルフィルターの手入れや保存方法、事前準備、淹れ方、ネルドリップに合うコーヒー豆などについて解説します。
そもそもネルドリップとは?
ネルドリップは、布製のフィルターを用いてコーヒーを淹れるドリップ方式です。
18世紀頃にフランスで始められました。
ネルとは「フランネル」の略語で、衣服のネルシャツと同じ素材が使用されています。
手触りが柔らかく、厚手の起毛している布製のフィルターで抽出します。
ネルドリップの特長
昔ながらの抽出方法で、ペーパーフィルターのように使い捨てではなく、フィルターにネルを用いるため、洗って何度も使用できるのが特徴です。
ただし、何度も使用しているとネルフィルターが目詰まりを起こすため、煮沸洗浄する必要があります。
ネルドリップは、目が粗いことでコーヒーオイルが多く抽出され、まろやかでコクのある味わいに仕上がります。
ネルフィルターの洗い方
ネルフィルターはしっかり手入れをしなければ長持ちしません。
使い捨てのペーパーフィルターと異なり、何度も使用するからです。
ここでは、ネルフィルターの保存方法についてご紹介します。
1 水洗い
まずは、水洗いをしてコーヒーの粉を落とします。
このときに、もみ洗いはしないように注意しましょう。目詰まりを起こす可能性があります。
気になる場所があれば、手で優しく撫でるように洗いましょう。
2 水気を切る
洗い終えると、ネルフィルターを軽くしぼり、キッチンペーパーなどで水気を取ります。
コーヒー粉が残っていると脂肪分が酸化し、嫌な臭いが付着するため、取り除く必要があるのです。
水気がなくなっているかどうかは、起毛面が毛羽立っているかを見る必要があります。
ネルフィルターの保存方法
ネルフィルターには、冷蔵庫と冷凍庫の保存方法などがあります。
・冷蔵庫に保管
水を張ったタッパーにネルフィルターが浸るようにして入れてから、冷蔵庫に保管します。このときにハンドルから取り外しても、取り外さない場合でもどちらでも良いです。
また、煮沸してから水を入れた容器に入れ、冷蔵庫に保管する方法もあります。
水は毎日取り替える必要があるので注意しましょう。
・冷凍庫に保存
ネルフィルターは冷凍庫でも保存可能な場合があります。 この方法で保存すると、毎日水を取り替えなくて済みます。
保存する際は、ジップロックなどを使用しましょう。
冷凍庫で保存したネルフィルターを解凍する場合は、洗い乾いたタオルなどで水気を取ることがポイントです。
ネルドリップの事前準備
・必要な器具
- まずは、以下のようにネルドリップに必要な器具を準備しましょう。
- 1.ネルフィルター
- 2.ハンドル
- 3.ネルドリップ専用サーバー
- 4.ケトル
ネルフィルターは、抽出する人数分や容量に合わせたサイズを使用します。
例えば、1〜2用、3〜4用として販売されているものもあります。
必要に応じて、ネルドリップスタンドがあればコーヒーを注ぎやすく便利です。
・コーヒーの挽き具合と分量
コーヒーの粉は、UCCのWebサイトでは中挽きから粗挽きを提案しています。コーヒーの粉は、粒度が細かいほど濃度が濃くなる傾向にあります。
ペーパードリップでは中細挽きが一般的ですが、ネルドリップはお湯とコーヒー粉が接触する時間が長いため、やや粗めに挽くことがポイントです。
一杯分の目安は、一般的には10〜13g、粗挽きで13~15g程度ですが、お好みで焙煎度合いや粉の量を調節してもOKです。
(参考:UCC「 おいしいコーヒーの淹れ方 ネルドリップ」)
https://www.ucc.co.jp/enjoy/brew/neldrip.html
ネルフィルターを使用する前にすること
新品のネルフィルターを使用する際は、軽く水洗いしてから沸騰したお湯にネルフィルターを投入します。
ネルフィルターにで付着しているでんぷん質などの糊を取り除くため、15分〜20分ほど煮沸します。
このときに使用済みのコーヒー粉も一緒に入れて煮沸する方法もあります。
ネルドリップの淹れ方
ネルドリップの抽出方法は、ペーパードリップと大きく変わりはありません。
しかし、注意点がいくつかあります。
1.ネルフィルターをハンドルにセットする
まずは、水気をしっかり取ってたからハンドルにネルフィルターをセットしましょう
すでにハンドルにネルフィルターをセットして保管されている方は、タオルや乾いた布巾などを用いて、水気を取りましょう。
また、ネルフィルターには、片面だけ起毛があります。そのため、どちらを表にするか迷う方も多いと思います。
さまざまな意見がありますが、一般的には起毛している方を外側にして使用される方が多いです。
2.ネルフィルターの形を整える
ネルの縫い目が外側になるようハンドルに通しましょう。ハンドルはネルの大きさに合ったものを使用します。
3.コーヒーの粉を入れる
ネルフィルターの中にコーヒー粉を入れ、1杯約120ml当たり、お好みで10〜13gの粉を入れます。2杯分では、コーヒーの粉を約20g入れます。
湯を注ぐ前にコーヒー粉の表面を平らにしておきましょう。
4.ドリップサーバーを温めておく
ケトルに8分目程度の湯を入れた上で、ドリップサーバーにも湯を入れて温めておきます。
ドリップサーバーを温めることで抽出する際の保温効果があり、コーヒーの温度低下を防ぐのです。
お湯の温度は90℃程度が適しています。
5.カップ温める
淹れたてのコーヒーでもカップが温まっていなければ、コーヒーの温度が下がりやすくなるため、カップも温めておく必要があります。
6.蒸らし
1回目のお湯を注ぐ際は、コーヒーの粉に中央から全体に注ぎます。
蒸らし時間は約30秒です。
ドリップサーバーには、コーヒーが少しずつ液体がポツポツと落ちている状態です。
蒸らしは、おいしい成分を抽出するための重要な工程となります。
7.抽出する
2回目にお湯を注ぐ際は、中心から「の」の字を描き、泡の山が沈みそうになったところで再度「の」の字を描くように注ぎます。これを3回〜5回程度に分けて繰り返し行います。
このときに、ネルフィルターに直接お湯がかからないように注意しましょう。
8.カップに注ぐ
抽出されたドリップサーバーにあるコーヒーは、下の方が濃く上の方が薄くなっています。
軽く回し、全体の濃度を整えてからカップに注ぎましょう。
ネルドリップで淹れたコーヒーの味
ネルドリップで抽出したコーヒーは、舌触りが滑らかでほのかに甘みを感じられます。
なぜなら、お湯がコーヒー全体に浸透し、コーヒーオイルが吸収されやすいためです。
ネルドリップは、ペーパーフィルターと異なるまろやかでボディを感じるコーヒーを楽しむことができます。
ネルドリップに合うコーヒー豆
ネルドリップに合う豆は特に決まりはありません。
浅煎りから深煎りまでさまざまなコーヒーを試してみても良いでしょう。
とはいえ、ネルドリップのコクとまろやかさを活かしたい場合は、深煎りのコーヒー豆を選ぶとほのかな甘みとボディを感じられます。
まとめ
ネルドリップは、ペーパードリップとは異なり、事前準備や手入れ、保管方法など、いろいろと手間がかかります。
しかし、舌触りが滑らかで甘みやボディを感じられる、ネルドリップでしか味わえないコーヒーなので根強いファンも多いです。
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